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11/25本会議質問に立ちました

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11月25日(水)名古屋市会本会議で議案外質問に立ちました。

質問内容は以下のとおりです。

  1. 名古屋城天守閣の木造復元による経済波及効果について
  2. 留守家庭児童健全育成事業について
    1. 家賃補助の適正化
    2. 地代補助制度の創設
    3. 施設設置補助制度の創設

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1.名古屋城天守閣の木造復元による経済波及効果について

(柴田)名古屋城天守閣の木造復元による経済波及効果について質問します。

12月6日から市内16区において、名古屋城天守閣の整備に関するタウンミーティングが開かれます。その案内チラシには、経済波及効果についても説明する、とあります。経済波及効果については、9月25日に開かれた市議会経済水道委員会に市民経済局が提出した資料の中で示されています。

この資料によると、「入場者数の増加による経済波及効果」は、木造復元の場合は約100億円となっています。

それでは、木造復元の場合の約100億円とされる経済波及効果の根拠はどこにあるのか。約100億円と算出された根拠は、入場者数が、木造復元後には約165万人増えることが前提となっています。昨年度の入場者数は約165万人ですから、木造復元によって倍増し、約330万人になるというのです。

それでは、入場者数が倍増するという根拠はどこにあるのか。この資料では、「木造復元による入場者数の増加は、名古屋城本丸御殿に関する調査を参考として算出」したとあります。それでは、本丸御殿に関する調査とはどういう調査か。この資料では明らかにされていません。

そこで、市民経済局長にお尋ねします。本丸御殿に関する調査とはどういう内容の調査か。その調査結果はどうだったのか。その調査結果から、どうして天守閣木造復元後に入場者数が約165万人増加すると想定できるのか。お答えください。

(市民経済局長)本丸御殿に関する調査については、平成19年度に名古屋市民を対象として行ったアンケート調査を分析したところ、本丸御殿が完成すると名古屋城年間入場者数がほぼ倍増するという結果となったものである。

 名古屋のシンボルである天守閣を木造復元した場合には、本丸御殿復元と同様の集客効果があると考え、その調査結果を参考として、現在の入場者数を基に試算している。

(柴田)市民経済局長の答弁は、本丸御殿に関するアンケート調査の結果を分析すると、本丸御殿の復元工事前の入場者数が復元後には倍増することが想定されたので、この調査結果をそのまま天守閣の木造復元に当てはめて、木造復元後も入場者数が倍増すると見込んだという趣旨の答弁でした。

実際はどうでしょう。本丸御殿の着工前、平成18年度の入場者数は110万人であり、本丸御殿の第1期が完成した平成25年度の入場者数は165万人ですから、1.5倍です。倍増するという想定ははずれました。

市民経済局長、天守閣木造復元後に入場者数が倍増するという根拠は崩れたのではありませんか。

(市民経済局長)現在本丸御殿については、第1期として玄関・表書院を公開しているところであり、今後第2期公開、全体公開と進み見どころも増えてくることから、入場者数についても増加するものと考えている。

(柴田)本丸御殿全体の完成後には倍増する想定だとおっしゃった。仮にそうなったとすると、本丸御殿全体の公開予定の平成30年度には、入場者数が220万人になります。そこから165万人増えなければ、天守閣復元による約100億円という経済波及効果は生じないことになります。すると天守閣復元後の入場者数は、220万人に165万人を足して385万人。今より2.3倍に増える。市民経済局長、こんなことがありえますか。

(市民経済局長)先ほどご答弁申し上げましたように、本丸御殿完成後の入場者数に関しましては平成19年度の調査結果により、また、天守閣の木造復元後の入場者数に関しましては、本丸御殿の調査結果を参考に、今回試算し、導き出した数値でございますので、ご理解賜りたいと存じます。

(柴田)全国の城郭の中で、入場者数が300万人を突破したところはありません。熊本城でも、本丸御殿の復元が竣工した平成20年度の入場者数は222万人であり、その後は160万人前後に減少しています。大天守の修理が終わって今一番人気の姫路城でも、今年度の入場者数は200万人程度と予想されています。名古屋城の入場者が、天守閣の木造復元後に三百数十万人に増えるというのは、余りにも過大な見込みだと言わざるをえません。

「木造復元で約100億円」という経済波及効果の算出は、天守閣復元に関する独自の調査をせずに、本丸御殿に関する調査を援用するという手抜き調査であり、入場者数が約165万人増えるという根拠が薄弱だということがはっきりしました。こんな杜撰な調査をもとに、「100億円の経済波及効果」などと喧伝することはまかりならんということを申し上げて、質問を終わります。

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2.留守家庭児童健全育成事業について

家賃補助の適正化

(柴田)本市の留守家庭児童健全育成事業、いわゆる学童保育事業の取り組みについて子ども青少年局に伺います。

国の「子ども・子育て支援新制度」の施行に伴い、本市でも今年度から、留守家庭児童健全育成事業の最低基準が条例で定められ、専用区画の面積については、「児童一人につきおおむね1.65㎡以上」とされました。つまりおおむね一人畳一畳の面積を与えることという条例が作られたということです。このこと自体は、大変歓迎すべき前進です。

問題は、基準を作って運営条件を厳しくした一方で、助成金制度のほうがそれに見合った応援制度となっているかという点です。

例えば30人程度の児童が過ごす育成会を想定してみますと、専用区画の面積は、30畳の面積が必要になります。民家を借りる場合、一部屋で30畳というのはなかなか現実的ではありませんので、例えば、大部屋で20畳+6畳間が二間+プラス指導員用事務室1+台所、トイレといった構成の戸建て賃貸物件を探してみます。

不動産業者のサイトで検索してみると軒並み10万円以上、平均しても20万円程度、場合によっては30万円程度が必要です。しかも自分の学区内にあるかどうか、それを学童保育として利用させてくれるかどうか、となるとさらに条件は厳しくなります。

他都市の家賃補助の状況はどうでしょうか。

人口50万の倉敷市では、75,000円を上限に全額補助を行っているそうです。全額です。

横浜市では、上限は15万円。耐震問題で移転した場合は上限20万円です。全額補助です。

さいたま市では、駅から1km以内は上限15万円、それ以外は上限12万円全額補助です。

国は上限26万円の家賃補助を始めました。この国の家賃補助制度は全児童施策との一体型が前提であるとはいえ、そんな国ですら、家賃として26万円を想定しているということです。

しかし、本市の家賃補助は、2/3補助で上限38,000円となっています。これは、あまりにも貧弱な制度だとお考えになりませんか?

この国の26万円の家賃補助制度について、本市の育成会方式の学童保育には適用外になっているとのことですが、適用されるよう、国に強く働きかけを行っていますか?

国の適用拡大を待つのではなく、本市として、独自に家賃補助をすぐに増額する考えはありませんか?

(子ども青少年局長)

(家賃補助の適正化)

・今年度、国は、放課後児童クラブ、「いわゆる学童保育」に関する家賃補助事業として、「放課後児童クラブ運営支援事業」を創設したところでございます。

・しかし、この事業の補助要件としましては、本市でいう、「トワイライトルーム」、すなわち、全児童を対象とした事業の「トワイライトスクール」に、時間を延長し、留守家庭等の児童を対象とした「いわゆる学童保育」も加えた一体型が基本であり、今年度以降に新たに実施するものであること等とされているため、現状において、本市における留守家庭児童育成会は対象になりません。

・そこで、今年度、本市における留守家庭児童育成会も対象として含まれるように、国へ要望したところでございます。

・なお、本市では、留守家庭児童育成会に対する市独自の支援策として、家賃補助及び、留守家庭児童専用室の無償貸与を行うことで、育成会が運営場所を確保できるよう支援しているところでございますので、ご質問の家賃補助につきましては、事業全体の中で、慎重に検討していく必要があると考えているところでございます。

地代補助制度の創設

(柴田)地代の補助制度の創設について伺います。

本市の助成金制度では、家賃補助はあるものの、地代補助という制度はありません。

民家や民地を利用している学童保育は、大家さんや地主さんの意向で、立ち退きを迫られる危険が常にあります。大家さんが逝去された場合などは、すぐにも立ち退きを迫られる場合があります。

新しい土地を見つけたとして、その土地を家付きで借りられれば家賃補助が受けられます。土地を3年以上借りられれば、市のプレハブ無償貸与制度を利用できます。

しかし、土地を無償貸与すれば固定資産税・都市計画税が免除になるという制度があると言っても、それよりもちゃんと土地代を払って欲しいと言われる場合もあり、その場合は、地代の負担に対する補助を受けることができません。

実際に、昭和区の前山学童保育所では約11万円、千種区の高見学童保育所でも移転で同様の地代が必要になるとのことです。

また無償貸与を受けている場合でも、「本当は地代をもらいたい」と考えている地主に、なんとか無理を言って無償貸与を続けてもらっているが、いつ出て行けと言われるかわからない。という極めて不安定な条件、弱い立場にならざるをえないケースも実は多いのです。

ここで、せめて10万円程度を上限とする全額補助の地代補助制度があれば、多くの育成会が一層安定して運営できるようになります。

あるいは、土地を現金化したいからと立ち退きを迫られた時、この地代補助を使って返済計画を立てれば、土地を担保に金融機関から借り入れをすることで、法人を作るなどして「土地を買い上げる」という選択肢も、現実的な選択になります。

このように、地代補助制度を創設することは、安定した育成会運営にとって、非常に有効性の高いものです。学童保育が途中で解散してしまう原因、あるいは、運営が厳しい原因の大きな一つが、立ち退きの不安という問題です。少しでもその不安を取り除き、せっかく近隣と良好な関係を構築できた土地で、末長く安定して学童保育を運営できるように、本市はよりいっそう努力すべきだと考えます。

この「地代補助制度」の創設をしようというお考えはありませんか?

(子ども青少年局長)

(地代補助制度の創設)

・本市独自の支援策として、民家を借りて運営する育成会には家賃補助を行っており、一方、運営場所として土地を確保した育成会には、本市が留守家庭児童専用室を設置し、無償貸与することで支援しているところでございます。

・また、育成会の運営のため、土地や家屋を無償貸与していただいた方に対しましては、固定資産税および都市計画税を非課税とすることで、土地や家屋の提供を促進しているところでございます。

・このような中、更に地代補助を行うことは、事業全体の中で考えますと、現状では困難であると考えているところでございます。

施設設置補助制度の創設

(柴田)施設設置補助制度の創設について伺います。

本市が無償貸与している専用室の仕様が不十分であるため、ほとんどの育成会では、自己負担で追加工事などを行い居住性を保っています。場合によっては、土地のみを賃借して、自前の建物で保育を実施したいと考える育成会も存在します。実際に、市の貸与するプレハブに追加工事するよりも、市がプレハブに用意しているリース料19年間分と、建て上げ費、撤去費を含めておおよそ1500万円の試算と聞いておりますが、その同じ予算額で直接建築してしまったほうが、居住向けのずっと良い仕様のプレハブや、木造建築の建物を設置できます。

この問題は、市の貸与する専用室の仕様が、木造本建築になるなど大幅な前進があれば不要になりますが、それまでの暫定措置として、自前で建築する場合の設置費補助を制度化することが合理的です。

この場合も、家賃ではなく土地代を払うことになりますが、助成金の対象にならない問題が生じるので、地代補助を利用できるようにする必要があります。その上で、自前で建物を設置したいという希望に応えられるよう、施設設置補助制度の創設を提案します。

この「施設設置補助制度」の創設をしようというお考えはありませんか?

(子ども青少年局長)

(施設設置補助制度の創設)

・本市が無償貸与する留守家庭児童専用室は、本市において事業者の入札や契約等の事務手続きを行うとともに、育成会や事業者とも綿密な打ち合わせを行ったうえで、育成会の希望を対応可能な範囲でお聞きしながら設置に関する事務を行っているところでございます。

・仮に育成会が自前で建物を設置する場合、現行、本市が行っている事業者の入札や契約の手続のほか、登記に関する手続きなど、すべて育成会の責任において行っていただく必要がございます。

・また、仮に整備費の補助を創設した際、登録児童数の減少等により育成会を解散せざるをえない場合や、様々な事情により運営場所を移転せざるをえない場合など、建物を撤去していただくこととともに、補助金を返還していただかなければならないような状況も生じる場合がございます。

・こうしたことから、地域の方と保護者で構成される任意団体である育成会に対しては、運営場所の支援に関して、整備費の補助を行うことより、現在の、本市が留守家庭児童専用室を貸与する方式で実施してまいりたいと考えております。

(柴田)そもそも「子育てするなら名古屋」とうたいながら、学童保育の施策について、独自の補助制度の創設は困難、家賃補助の増額ですら慎重に検討、という態度では、何のためのスローガンなのかわかりません。非正規雇用が増大し共働き率はすでに8割に近づいています。子どもの貧困も拡大しています。学童保育施策の社会的必要性はかつてなく高まっているのです。

学童保育が安定して運営できるようにするために、一番いいのは土地・建物を市が責任持って用意することです。また、移転先を探すという大仕事をはじめ、運営を「地域と保護者の責任」で行わなければならないというやり方も、もう限界が近づいています。とはいえ、いきなり施策の大転換をすることは大変なことでしょうから、せめてもの最低限の要求として、家賃補助の増額ぐらいは実現して欲しいと申し上げているのです。

今年度、国基準で支出される助成金の負担割合が変更になり、名古屋市の負担分が半分に減りました。浮いたお金はおよそ1億円です。このうち8700万円程度を使って新規設置のプレハブのサイズを1.5倍化したそうですが、残りのおよそ1300万はどこへ行ってしまったんでしょうか。1300万円あれば、今年度で打ち切りになる耐震化促進特別措置の家賃補助600万円だって打ち切らずに継続できるし、さらに家賃補助全体を、この特別措置の家賃補助「57,000円全額補助」よりも、もっと引き上げることだって可能です。学童保育の予算を増やすどころか削っておいて、「子育てするなら名古屋」などとよく言えたものです。

財源は、今年度削った分を復活させれば十分あります。「慎重に検討」などではなく、来年度予算編成に向けて、ぜひ実現へと進んでいただきたいと強く訴えて、質問を終わります。

 

 

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