9月議会で補正予算など意思決定
名古屋城天守閣木造復元にかじを切る補正予算に反対討論
9月30日(水)午後1:00から行われた名古屋市会本会議で、補正予算などの議案に対する意思決定が行われました。
日本共産党の西山あさみ議員が、名古屋城天守閣の木造復元を盛り込んだ補正予算にたいして反対討論を行いました。全文を紹介します。
反対する理由は、名古屋城整備検討調査と銘打って、名古屋城天守閣の木造復元に本格的に踏み出す予算が計上されているからです。問題点は4つ。
第1は市民の意見を聞かず、市民合意のない中で木造復元へとかじを切ったことです。当局は7月1日の経済水道委員会で、「木造復元を目指す」という方針を撤回し、複数の「選択肢を示しながら、市民の意見を聞き、調査結果などを丁寧に説明する」という方針を示しました。ところが、市民の意見を聞くこともなく、木造復元に向けた技術提案交渉方式による契約手続きを開始するというのは、市民そっちのけと言わざるを得ません。昨年2月に実施されたネットモニターアンケートでは「耐震改修」が7割を超えたように、木造復元についての市民合意はありません。市民アンケートを行うというのなら、補正予算を提出する前に実施すべきです。
第2は2020年7月のオリンピックまでに竣工という無謀な方針となっていることです。当局は委員会で、事業者募集の条件として2020年7月までの竣工を明示しました。市の調査では、天守閣本体だけでも、解体に3年、復元工事に6年、合わせて9年。しかも、御殿の工事と重複しないよう「本丸御殿完成後に木造復元に着工するのが望ましい」という結果が出ています。こうした調査結果を棚上げにする工期の設定は資材や人件費の高騰をまねき、事業費が跳ね上がることはあきらかです。
第3は概算事業費も明らかにせず、財源のめどがたたぬままでの強行は市民の暮らしに犠牲を強いる恐れがあることです。木造復元といっても木材や仕様により270億円~400億円と大きな幅があります。概算事業費も示さず事業者まかせにするのはあまりにも無責任です。国からの補助金確保のメドも立っておらず、市の財政見通しも厳しいもとで、巨額の市費を投入すれば市民の暮らしに大きな犠牲を強いることになりかねません。
第4は、「特別史跡名古屋城跡全体整備計画」では、天守閣については耐震改修を進める方針であるにも関わらず、木造復元に方針を転換することは、この「全体整備計画」との整合性がとれないことです。
以上の点から、天守閣の木造復元には大きな問題があり、いま急ぐべきではありません。
この3分の討論に対して、自民党の議席から拍手がありました。河村市長は「共産主義だ」と無意味なヤジを飛ばしましたが、自民党の議席から「共産主義じゃないわ、きわめてまともなことを言っとるんだわ」と、市長をたしなめるヤジも飛びました。採決では、残念ながら共産党以外の全会派が賛成し、補正予算は成立しましたが、自民党内部にも、市長の強引なやり方に対し忸怩たる思いの議員もいることを感じさせるやり取りでした。
この様子は翌日の中日新聞と毎日新聞にも詳しく報じられました。
辺野古新基地建設に反対の意見書を求める請願の不採択に対する反対討論
また、辺野古新基地建設をやめることを求める意見書の提出を求める請願について、総務環境委員会での審査結果では不採択に日本共産党以外の会派が賛成したため、不採択にすべきものとして本会議に提案されました。これに対して、日本共産党のさはしあこ議員が反対討論に立ち、2分間の討論を行いました。全文を紹介します。
この請願は、沖縄県の米軍普天間飛行場を辺野古に移設し、そこでの新たな基地建設の中止を求めるものであり、住民意思を尊重することが地方自治の堅持につながるというものです。
2014年に行われたすべての選挙において、辺野古新基地建設に反対である県民の明確な意思が示されました。また、世論調査においても、反対と回答した県民が圧倒的多数となっています。こうした民意が明らかとなっているにもかかわらず、政府は辺野古新基地建設の計画を推し進めています。
スイスのジュネーブで開催された国連人権理事会において、県民の思いを託された翁長雄志県知事が、「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている辺野古の状況を、世界中から関心を持って見てください」「自国民の自由、平等、人権、民主主義、そういったものを守れない国が、どうして世界の国々とその価値観を共有できるのでしょうか」とスピーチをされました。
いち自治体が国際社会に向けて演説した事実を政府は、重く受け止めるべきです。また、住民自ら決定した意思を軽視する政府の姿勢は、見過ごすわけにはいきません。民意を尊重する立場からも、同じ地方自治体の問題として捉えるべきではないでしょうか。
本議会が「辺野古新基地建設反対」の住民の思いを汲み取り、同じ地方議会として国に対し、意見書提出を求める請願の採択を呼びかけて討論を終わります。
採決では「不採択」に対する賛否が問われ、日本共産党以外の全会派の賛成で「不採択」となりました。
共産党提案の国保の子ども均等割保険料の軽減等を求める意見書など5つを採択
議員提案として5つの意見書が提案され、全会一致で採択されました。
6月議会で私が本会議質問でも取り上げた、国民健康保険だけがまるで人頭税のように子ども一人一人に均等割保険料が課せられている問題に関する「国民健康保険における子どもに係る均等割保険料の軽減等に関する意見書」(共産党提案)も採択されました。全文を紹介します。
国民健康保険における子どもに係る均等割保険料の軽減等に関する意見書
本年5月、国会において「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」が成立したことから、国において、国民健康保険の財政基盤の強化や都道府県による財政運営に向けた具体的な改革作業が開始された。
国民健康保険の改革にあたっては、地方から提案されている地方単独事業に係る国庫負担調整措置の見直しとともに、子どもに係る均等割保険料の軽減措置の導入についても今後の検討課題とされたところである。
国民健康保険の均等割保険料は、国民健康保険の加入者一人一人に均等にかかるものである。家族に子どもがふえると保険料の負担が重くなるこの仕組みは、子育てに関するさまざまな負担軽減策を進めている地方公共団体の政策の方向とも相容れないものとなってきている。また同じ医療保険制度であるが、被用者保険の組合管掌健康保険や全国健康保険協会管掌健康保険には存在しない負担であり、国民健康保険加入者のみに重い負担を強いる要因の一つともなっており、早急な見直しが求められている。
よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、子育て支援の観点から子どもに係る均等割保険料について、他の医療保険制度との公平性を保ちつつ、国の責任と負担による軽減等の見直しを早急に検討し、速やかに結論を出すよう強く要望する。
なお共産党が提案していた戦争法案反対の意見書は、国会での承服しがたい法案成立にともない、不本意ながら取り下げとなりました。
このほかの意見書は、●訪日外国人旅行者の誘客促進、●公共事業等における国産材(地元材)利活用の促進、●携帯電話の2年縛り見直しの促進、●食品におけるトランス脂肪酸の表示促進の4つです。