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柴田たみおニュースNo.37(2019-05-12)

72回目の憲法記念日に思う

今回は、全編コラム形式で柴田の意見として記事を書いております。

5月3日は日本国憲法が1947年(昭和22年)5月3日に施行されて満72年となる憲法記念日でした。

また初めて「10連休」となったゴールデンウィークの真っ只中という日程でもありました。

その二日前の5月1日には、天皇が交代し、元号が平成から令和に変わると、一日中テレビが「令和フィーバー」状態に陥っていました。

改めて日本国憲法の天皇の規定を見てみると、

日本国憲法
第一条
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

とされています。「日本国の象徴」であり「日本国民統合の象徴」と、2回も「象徴」という言葉が繰り返し使用されていますが、改めて「象徴」って何だ?と、聞かれると、なかなか簡単には説明できないことに気づきます。

国民にとっては「象徴」というより「アイドル」の方が近い?しかし国際的には「Emperor(皇帝)」

ブリタニカ国際大百科事典によると「象徴」とは

ある対象を認識しようとする場合,この対象が不在であるか,あるいはなんらかの理由で直接には認識困難もしくは不可能であるとき,この対象となんらかの関係を有する第三者を直接認識して,この関係に基づいてその対象を間接に類推,認識することができる。この対象の代りをなす第三者を一般に象徴という。【略】

とされています。

国、とか国民がまとまりを持っていること、という目に見えないものを代理で表すものとして、人々が合意したシンボルが天皇である、ということになるようです。

しかし、実際には、むしろ、東日本大震災の被災者を見舞いに訪れた当時の天皇夫妻の姿に、人情味や温かさを感じるなど、いわば「アイドル」に近い存在として認識している人の方が多いのでは無いかと思います。

そして、そのような「アイドル」の存在に一定の敬愛と尊敬の念をもって受け入れてはいるものの、はたしてそれが日本国民統合の象徴なのか、と言われると、はて?となってしまうのが実態ではないかと思います。

実際に、民主的手続きで選ばれたわけでもなく、政治的権能は無いわけですから国民生活に直接影響する行為を行うことはありません。直接的利害関係のない、別世界の人というのが実感に近いと思います。

それでも、国際的にはEmperorエンペラー(皇帝)として扱われる、国家を代表する存在です。選挙で選ばれない、国民の代表者、という不思議な存在ではあります。

安倍政権への警告を発していた

前天皇だった明仁氏は、中国、アメリカ(パールハーバー)、カナダ、インド、パラオ、フィリピン、ベトナムなどを慰霊の旅で訪れました。その姿は、その前の天皇だった裕仁氏の時代=絶対主義的天皇制という、戦争の最高責任者としての天皇の時代への強い反省から生まれた日本国憲法に定められた「象徴」としての天皇として、2度と再び戦争への道へと歩んでゆくことのないようにという、強い決意を表しているように見えました。戦争と決別し、平和主義国家として歩む日本国の「象徴」としての天皇の新たな役割とあり方を模索し続けた30年だったようにも見受けられます。

そしてその発言内容には、憲法によって縛られた、政治的権能に触れないギリギリ瀬戸際の部分まで踏み込んで、憲法改定を声高に叫ぶ安倍政権に対する、警告のメッセージを強く込められていたようにも感じます。

弊害ばかり目立つ元号使用

そんな天皇制ですが、天皇の代替わりに伴って、元号を変える、という、なかなか厄介な問題が私たちの生活に関わってきます。

元号表記は義務ではありませんが、行政文書では標準的に使用されています。しかし、複数の元号をまたがった年数を数えるとき、少なからず混乱します。

私は昭和40年生まれですが、例えば令和3年の誕生日で何歳になるでしょう、と聞かれて、パッと計算できるでしょうか。利便性を考えれば、行政文書も西暦使用を基本にした方が良いのではないかと思います。

日本国憲法にふさわしい天皇制とは

不便な元号の使用のほかにも、政教分離のはずなのに、神道の儀式を国家予算を使って行うことなど、天皇制にまつわる矛盾は様々にあります。そもそも日本国憲法の全文を護ってゆく立場から、天皇制についても、その日本国憲法にふさわしいあり方について、改めて考える必要があると思います。

映画「主戦場」を見ておきたい

今話題の映画「主戦場〜ようこそ『慰安婦問題』論争の渦中へ〜」のご紹介です。と言っても私もまだ見ていないのですが。是非見ておかなければならない映画だと思います。サブタイトルの通り、この映画は「日本軍慰安婦問題」論争そのものを、両者の論客の主張をドキュメンタリーとしてまとめ、その本質をえぐり出す作品とのことです。

名古屋シネマテーク(地図)にて、5/4(土)〜5/10(金)16:30〜、5/11(土)〜5/17(金)10:40〜。

これ以降上映予定は無いようです。

(連載「市民税減税とは何か」はお休みします。)

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